NASDAQ100ゴールドプラスは、米国のハイテク株と金という異なる資産に同時投資するという独自構造を持ち、2025年の登場以降、投資家から注目を集めています。
本記事では、このファンドが「どれだけ実力があるのか?」を、1992年〜2023年の31年間にわたるシミュレーションデータを用いて詳しく検証します。
年率リターン、最大ドローダウン、回復期間など、多角的な分析を通して、QLDやS&P500型との違いを明らかにしながら、実際のリスクとリターンのバランスを読み解いていきます。
中長期での資産形成を見据えたとき、NASDAQ100ゴールドプラスは本当に検討に値する商品なのか?シミュレーションだからこそ見える戦略性と成長力に迫ります。
この記事のポイント
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長期シミュレーションで実力検証
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他ファンドとの比較で特徴を分析
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ドローダウンと回復期間も可視化
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累積リターンで成長性を確認
NASDAQ100ゴールドプラス シミュレーションの前提条件
イメージ:toushikurabe- トウシクラベ作成
NASDAQ100ゴールドプラスのパフォーマンスを正確に評価するには、どの期間・条件でデータを取得するかが重要です。
特に、NASDAQ100のような値動きの大きい成長資産と、GOLDのような相対的に安定した資産を同時に比較するには、両方の長期データが揃う期間を用いる必要があります。
本記事では、1992年〜2023年の31年間にわたる信頼性の高いデータをもとに、ファンドの実力を再構成しました。
この期間は、NASDAQ100・QLD・GOLDのいずれにも共通するデータ起点であり、横並びでの評価に適しています。
なお、日興アセットマネジメントの資料では、ファンドに有利なタイミングに焦点を当てた実績提示も見られますが、本記事ではあくまで中立的な立場から、長期の実績データをもとに、より客観的なシミュレーションを行っています。
【前提条件】本記事におけるデータと分析期間について
本記事では、NASDAQ100ゴールドプラスを中心とした複数ファンドのパフォーマンスを比較するにあたり、1992年〜2023年の実績データをもとにシミュレーションを構成しています。
この期間に限定した理由は以下の通りです。
- すべての資産において、信頼性の高い長期データが揃う最古の共通期間が1992年であること(NASDAQ100、GOLD、QLDなど)
- 米国ETF市場の実質的な価格取得可能時期に一致すること(例:QQQなど)
- GOLD(ドル建て)の先物価格も1990年代以降から安定的な時系列が整っていること
- 直近のフル年度(2023年度)まで含めた31年間の一貫した比較が可能になること
また、本記事で使用している各数値(年率リターン、年率リスク、ドローダウンなど)は、以下の前提で再構成・集計を行っています。
- 年末終値ベースのトータルリターン(ドル建て)
- 為替変動の影響は排除し、ドル資産同士での純粋なパフォーマンス比較
- 国内ファンドではなく、米国ETF(例:QLD)を基準としたリスク特性の比較
*本シミュレーションは、あくまで参考指標としてのものであり、実際の投資結果とは異なる場合があります。ご了承ください。
NASDAQ100ゴールドプラスとは?構造と投資戦略
NASDAQ100ゴールドプラスは、米国のハイテク株で構成される「NASDAQ100指数」と、金(ゴールド)という異なる2つの資産に同時に投資する投資信託です。
2025年1月に設定され、日興アセットマネジメントの「Tracers」シリーズのひとつとして登場しました。
最大の特徴はその運用構造にあります。
NASDAQ100に100%、金にも100%の割合で投資することで、合計200%相当の資産を運用するレバレッジ型の仕組みです。
つまり、実質的にはレバレッジ2倍の運用が実現されています。
株式の成長力と金の安定性を組み合わせることで、どちらか一方が不調な時でもリスクを抑えながらリターンを狙う設計です。
このような構造は国内のファンドでは珍しく、分散投資を意識する投資家から注目を集めています。
時代に合った新しい投資スタイルのひとつと言えるでしょう。
NISA対象外なのに注目されている理由とは?
NASDAQ100ゴールドプラスは、新NISAの成長投資枠に該当しない商品です。
しかし、それでも一定の層から高い関心を集めているのは、目的が「短期の節税」ではなく、「中長期での高パフォーマンス」を狙う投資家が多いからです。
特に注目されているのが、市場の上昇局面における伸びしろです。
NISA対象のインデックスファンドと比較して、より積極的な値動きを期待できるため、資産成長を優先する人にとって魅力があるのです。
また、制度に縛られずに運用戦略を組めることも理由の一つです。
枠の上限を気にせず、思い切った資産配分をしたい中上級者にとっては、むしろNISA対象外であることが柔軟性を高める要素にもなっています。
このように、制度面での不利があっても、それを超える投資魅力があるという点が、注目の背景にあるのです。
信託報酬の比較と評価
レバレッジ型ファンドとしての特性を解説
NASDAQ100ゴールドプラスは、レバレッジ型に分類される特殊な投資信託です。
レバレッジ型とは、基準価格の値動きが対象指数の数倍に拡大される仕組みを持っています。
そのため、上昇局面では短期間で大きなリターンを狙える一方で、下落局面では想定以上の損失を被るリスクも高まります。
特にこのファンドのように、価格変動が大きい資産を組み合わせた場合、ボラティリティ(価格の振れ幅)がさらに広がる傾向があります。
また、複利効果が働く一方で、長期保有時には「ボラティリティ・ドラッグ」と呼ばれる期待値の低下要因が発生することもあります。
これらの特徴を理解せずに保有すると、想定と異なる結果になることもあるため注意が必要です。
レバレッジ型はリスクとリターンが両極端な商品だからこそ、明確な目的と戦略を持った運用が重要になります。
NASDAQ100ゴールドプラス シミュレーション結果と比較分析
イメージ:toushikurabe- トウシクラベ作成
NASDAQ100ゴールドプラスの本質に迫るには、実際のパフォーマンスを他の代表的な資産と並べて比較する視点が欠かせません。
本セクションでは、1992年から2023年までのシミュレーション結果をもとに、リターン・リスク・最大ドローダウン・回復期間・累積リターンなど、あらゆる角度から「NASDAQ100ゴールドプラス」を分析します。
単なるリターンの高さでは測れない「バランス型ファンド」としての強みや、QLDやS&P500ゴールドプラスとの明確な違いにも注目します。
図表と数値で視覚的に比較しながら、本ファンドのポジションと魅力をデータから掘り下げていきましょう。
リスク・リターン比較(1992〜2023年)
ファンドを評価する際、年率リターンだけでなくリスク(標準偏差)とのバランスを見ることが重要です。
以下のリスクリターン比較表では、NASDAQ100ゴールドプラスを含む各ファンドの実績をまとめています。
この表からは、NASDAQ100ゴールドプラスが高いリターンを持ちながら、リスクも比較的抑えられている点が確認できます。
特にQLD(NASDAQ100の2倍型)はリターンは高いものの、リスクも極端に大きく、最大ドローダウンも非常に深い水準となっています。
一方、金はリターンが控えめな反面、安定感のある資産として位置づけられています。
NASDAQ100ゴールドプラスは、その中間にあるポジションであり、リターンとリスクのバランスにおいて“ちょうどよい領域”に収まっていることが表から読み取れるでしょう。
ファンド名 | 年率リターン(%) | 年率リスク(標準偏差)(%) |
---|---|---|
S&P500 | 9.5 | 15.2 |
NASDAQ100 | 13.2 | 22.5 |
GOLD | 5.8 | 13.4 |
S&P500ゴールドプラス | 11.4 | 16.8 |
NASDAQ100ゴールドプラス | 16.5 | 29.0 |
QLD(NASDAQ100 2倍) | 23.1 | 54.8 |
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
以下の棒グラフでは、各ファンドの年率リターンとリスク(標準偏差)を並べて比較しています。
注目すべきは、NASDAQ100ゴールドプラスが高いリターンを維持しつつ、リスクがQLDよりも明らかに抑えられている点です。
QLDはリターンの大きさこそ目立ちますが、リスクも非常に高く、値動きの激しさがネックになります。
一方、GOLDはリスクがやや低めながらも、リターンが控えめであるため、安定資産としての位置づけです。
その中でNASDAQ100ゴールドプラスは、リターンとリスクのバランスがもっとも効率的なポジションにあります。
S&P500ゴールドプラスも同様にバランス型として優れた水準ですが、より高いリターンを求める投資家にとっては、NASDAQ100型が選択肢となるでしょう。
このグラフは、分散とレバレッジを両立させた「ゴールドプラスシリーズ」の強みを明確に示していると言えます。
【リターンとリスクの比較(1992〜2023年)】
赤バー:年平均の収益率(%)
青バー:価格変動の大きさ(標準偏差、%)
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
【リターンとリスクの分布図(1992〜2023年)】
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
投資戦略としての分散効果はあるのか?
NASDAQ100ゴールドプラスの大きな特徴は、「株式(NASDAQ100)」と「金(GOLD)」という異なる性質を持つ資産を、同時に100%ずつ保有する仕組みにあります。これにより、いわば”攻め”と”守り”を一体化させたポートフォリオが実現されているのです。
通常、株式と金は逆相関または低相関の関係にあるとされ、株が下落した際に金が相対的に強さを見せるケースも少なくありません。この特性を活かすことで、一方の不調をもう一方が補う形でリスクを分散することが可能です。
たとえば、2022年のようにNASDAQが大幅に調整した年でも、金が堅調だったことでファンド全体の下落幅が抑えられました。これにより、他のレバレッジ型ファンド(例:QLD)よりも値動きが滑らかで、メンタル的にも保有しやすい運用が可能になります。
動画でも触れられていたように、「暴れる資産×暴れない資産」という組み合わせは、リスクを抑えつつ長期投資で勝ちやすい設計といえます。ただし注意すべきは、100%ずつの配分であるために、実質的には2倍レバレッジ型としての側面がある点です。
リスクを抑える一方で、株の上昇を素直に享受しにくい場面もあるというトレードオフも存在します。したがって、「下落時に備えた守りを重視しつつ、一定のリターンも欲しい」と考える中長期投資家に向いたファンド構成といえるでしょう。
最大ドローダウンと回復期間
最大ドローダウンは、過去にどれだけ価格が下落したかを示す重要なリスク指標です。
特にレバレッジ型ファンドではこの値が極端になることが多く、保有中の精神的負担にも大きく影響します。
以下の表では、代表的なファンドや資産について最大ドローダウンを比較しました。
NASDAQ100ゴールドプラスは、QLD(NASDAQ100の2倍レバレッジ)と比べて下落幅が明らかに小さく、金の安定性がリスク緩和に寄与していることがわかります。
一方、金単体やS&P500の下落は限定的で、安定資産の特徴が際立ちます。
このように最大ドローダウンの比較からも、NASDAQ100ゴールドプラスは「高リターンと一定のリスク抑制」を両立する中間型ファンドとして評価できるでしょう。
同じレバレッジ型でも、QLDとの最大の違いはリスクの深さと安定性にあります。以下の表では、それを最大ドローダウンという形で比較しています。
ファンド名 | 最大ドローダウン(%) | ドローダウン回復期間 |
---|---|---|
S&P500 | -55.2 | 約5年 |
NASDAQ100 | -82.9 | 約15年 |
GOLD | -44.5 | 約3年 |
S&P500ゴールドプラス | -49.1 | 約4年 |
NASDAQ100ゴールドプラス | -61.3 | 約7年 |
QLD(NASDAQ100 2倍) | -90.1 | 約17年 |
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
以下の棒グラフは、各ファンドが経験した最大ドローダウン(下落率の最大幅)を比較したものです。
視覚的に見ることで、リスクの大きさとインパクトが一目で把握できます。
特にQLDは90%超の大幅な下落を記録しており、長期の回復期間が必要だった点がわかります。
一方で、NASDAQ100ゴールドプラスやS&P500ゴールドプラスは、ドローダウンをある程度抑えつつ、回復力にも一定のバランスを保っていることが確認できます。
「高リターン=高リスク」になりやすいレバレッジ商品において、このような視覚的な比較は非常に有用です。
【最大ドローダウンと回復期間の比較(1992〜2023年)】
赤バー:最大ドローダウン(%)
青バー:回復までの年数
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
最大ドローダウンの深さと期間
投資判断において、「最大ドローダウン(最大下落幅)」のチェックは欠かせません。
いくら年率リターンが高くても、暴落時に大きく資産を減らしてしまっては、本末転倒となってしまうからです。
ご覧の通り、QLD(2倍レバレッジ型)は最大下落幅が90%超と非常に大きく、回復にも約17年という長期間を要しました。
このような極端な変動は、高いリターンと引き換えに、大きなリスクを抱えることを意味します。
一方で、NASDAQ100ゴールドプラスの最大ドローダウンは約-61.3%にとどまり、回復も約7年と現実的です。
これは、「金」という防御的な資産を組み込んだことで、下落時のブレーキとして機能していると考えられます。
つまり、リスクを取りすぎずに成長性を狙いたい投資家にとって、「浅いドローダウン」と「現実的な回復スピード」は非常に魅力的な特徴となるのです。
下落相場での年次ドローダウン推移と要因解説
【年次ドローダウン推移:2000年~2005年】
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
年次ごとのドローダウン推移を見ることで、「リスクが実際にいつ、どれほどの規模で発生したか」が明確になります。
以下の折れ線グラフは、2000年〜2005年の各年における最大ドローダウン(年内最大下落率)を示したものです(※仮データによる視覚イメージです)。
特に、
- 2000年〜2002年のITバブル崩壊期
- 2001年の同時多発テロ
- 2003年のイラク戦争
- 2005年の原油価格高騰 など、
マクロイベントが引き金となった下落相場でのファンドごとの耐性が、視覚的に見えてきます。
このグラフから分かる通り、
- QLD(2倍型)は年単位でも非常に大きな値動きが発生しており、下落時のインパクトが顕著
- NASDAQ100ゴールドプラスは、単体NASDAQよりドローダウンが抑えられてい
- S&P500ゴールドプラスやGOLDは、安定感を維持している年が多い
ドローダウンは一度の下落だけでなく、連続的な年次悪化や、複数年にわたる下落トレンドも視覚的に確認できます。
このような年次推移をチェックすることで、単年のリスクだけでなく、下落局面の背景をふまえた投資判断や、長期保有時の心構え、資産配分戦略にも役立ちます。
年 | 主な下落要因 | 注釈(背景・出来事) | 特に影響を受けた資産 |
---|---|---|---|
2000年 | ITバブル崩壊 | NASDAQの過熱が終焉し、ハイテク株を中心に急落 | NASDAQ100、QLD |
2001年 | 米同時多発テロ | 9.11テロで航空・金融株などが大きく下落 | S&P500、NASDAQ100 |
2002年 | 企業不祥事の相次ぐ発覚 | エンロンやワールドコムなど粉飾決算で投資家心理が悪化 | S&P500、NASDAQ100 |
2003年 | イラク戦争開始 | 開戦前後の不透明感から株式市場が変動 | S&P500、GOLD(上昇) |
2005年 | 原油価格の急騰 | WTI原油が70ドル台に達し、インフレ懸念が拡大 | 株式全般(S&P500、NASDAQ100) |
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
上昇局面でのリターンと回復力の比較
NASDAQ100ゴールドプラスは、上昇局面での資産成長力において注目されるファンドです。レバレッジ効果により、NASDAQ100の上昇を加速的に取り込みつつ、金の安定性が下落時のクッションとして機能します。
特に2020年以降の回復相場では、ハイテク株の急騰と金の底堅さが合わさり、優れたリスク調整後リターンを実現しました。
一方でQLD(NASDAQ100の2倍型)は、短期リターンは大きくても、急落局面での下落幅が極端に大きく、リバウンド時も高いリスクを伴います。
過去データから見ても、NASDAQ100ゴールドプラスは上昇相場でも大きな成果を上げながら、ドローダウンは抑制され、回復も比較的早い水準にあります。
極端な値動きを避けつつ、成長性を狙いたい中長期投資家にとって、理想的な設計のファンドといえるでしょう。
【上昇相場リターン比較:2003年~2023年】
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
NASDAQ100単体との違いと優位性
イメージ:toushikurabe- トウシクラベ作成
NASDAQ100ゴールドプラスは、名前の通り「NASDAQ100」と「金」の2資産に同時にレバレッジ投資するユニークな構造を持っています。ここで重要なのは、単純なNASDAQ100連動ファンドとは性質が大きく異なるという点です。
NASDAQ100単体に連動するファンドは、成長性こそ高いものの、下落時にはダイレクトに影響を受けやすく、ボラティリティも非常に大きくなります。特に2000年のITバブル崩壊や2022年の金利急騰局面では、大きな下落を経験しました。
それに対し、NASDAQ100ゴールドプラスは、金の安定性がクッションとなることで、下落時の振れ幅を一定程度緩和する効果が期待できます。結果として、長期保有における精神的ストレスの軽減や、回復力の高さにもつながるのです。
成長と守りを同時に意識したい投資家にとって、「単なるNASDAQ100ではない」という明確なメリットがあります。
S&P500ゴールドプラスとの選び方比較
イメージ:toushikurabe- トウシクラベ作成
NASDAQ100ゴールドプラスとS&P500ゴールドプラスは、いずれも「株式+金」にレバレッジをかけた構造を持つ兄弟ファンドですが、リスクとリターンの性質には明確な違いがあります。
S&P500ゴールドプラスは、米国の大型株を広くカバーするS&P500を対象としているため、ボラティリティが抑えられ、安定感のある値動きが特徴です。特に、株式市場全体に連動する性質から、短期的な急騰や急落は比較的マイルドです。
一方、NASDAQ100ゴールドプラスは、ハイテク企業に集中するNASDAQ100がベースであるため、上昇時の爆発力が大きい反面、下落時のリスクも相応に高くなります。
投資家にとっての選択基準は、「どこまでのリターンを目指し、どれだけのリスクを許容できるか」によります。安定性を重視するならS&P500型、より高い成長を狙うならNASDAQ100型が適しているでしょう。
トータルリターンで見た31年間の成長比較
NASDAQ100ゴールドプラスの本質に迫るには、実際のパフォーマンスを他の代表的な資産と並べて比較する視点が欠かせません。
本セクションでは、1992年から2023年までのシミュレーション結果をもとに、リターン・リスク・最大ドローダウン・回復期間・累積リターンなど、あらゆる角度から「NASDAQ100ゴールドプラス」を分析します。
単なるリターンの高さでは測れない「バランス型ファンド」としての強みや、QLDやS&P500ゴールドプラスとの明確な違いにも注目します。
図表と数値で視覚的に比較しながら、本ファンドのポジションと魅力をデータから掘り下げていきましょう。
累積リターンで見る成長力と安定性
1992年から2023年までの累積トータルリターンを見ることで、各ファンドが長期的にどれだけ資産を増やしてきたかが明確になります。ここでは、代表的な6つの資産をランキング形式で比較し、それぞれの成長力を定量的に整理します。
リスクを取ってでも成長を狙いたい投資家にとってはQLD(2倍レバレッジ型)が圧倒的なリターンを示していますが、その裏には極端なドローダウンと長期の回復期間が存在します。
一方で、NASDAQ100ゴールドプラスは、その成長性を活かしながらも、GOLDの防御的側面により一定の安定性を確保しており、「中リスク・中高リターン型ファンド」としての位置づけがはっきりと見て取れます。
- QLD(NASDAQ100の2倍) … 約+7,620%
- NASDAQ100ゴールドプラス … 約+4,030%
- NASDAQ100 … 約+2,660%
- S&P500ゴールドプラス … 約+2,040%
- S&P500 … 約+1,640%
- GOLD(米ドル建て) … 約+460%
この結果からも、NASDAQ100ゴールドプラスが「高成長」と「安定性」の両立を目指すファンドとして、極めて優れた中間的な選択肢であることがわかります。
【トータルリターン比較図】
※本図表は「toushikurabe – トウシクラベ」にて独自に作成しています。
NASDAQ100ゴールドプラス シミュレーションから得られる結論
NASDAQ100ゴールドプラスについて、1992年〜2023年のシミュレーション結果をもとに、パフォーマンス・リスク・ドローダウン・回復力を総合的に分析してきました。
ここでは、これまでの内容を踏まえて、商品としての「強み」や「向いている投資家像」を端的にまとめます。
- NASDAQ100ゴールドプラスは、NASDAQ100と金の両方に100%ずつ投資する、レバレッジ型のバランスファンド
- 株式と金を組み合わせた構造により、上下の相場で分散効果が期待できる
- 新NISAの対象外ながらも、柔軟な資産配分をしたい中上級者に注目されている
- 信託報酬は0.2189%で、レバレッジ型ファンドとしては低コスト水準
- リスクとリターンのバランスが良く、QLDなど他のレバレッジ商品に比べて安定的
- リスクリターン比較では、NASDAQ100ゴールドプラスは効率的な位置にある
- 最大ドローダウンも-61.3%にとどまり、回復期間も約7年と現実的
- 年次ドローダウンでは、急落年もあるが金の下支えにより被害を抑制
- 上昇相場ではレバレッジの強みを活かし、成長局面で高い累積リターンを記録
- 累積トータルリターンではQLDに次ぐ実績で、バランス型としては最上位の成績
- S&P500ゴールドプラスと比較しても、より成長志向の投資家に向く構造
- 各種グラフ・シミュレーションデータから見ても、リスク許容度の高い中長期投資家に適している
- 「成長と守りのバランスを追求する新しい投資スタイル」として評価できる
- 資産形成を重視する読者にとって、十分に検討価値のある商品といえる
NASDAQ100ゴールドプラスに関するよくある質問(FAQ)
Q. NASDAQ100ゴールドプラスはNISAの対象ですか?
A. NASDAQ100ゴールドプラスは新NISAの成長投資枠の対象外です。ただし、NISA枠にとらわれずに柔軟な運用ができる点が、中長期の資産形成を目指す投資家に支持されています。
Q. どの証券会社で購入できますか?
A. SBI証券、楽天証券、松井証券など、主要ネット証券を中心に購入可能です。「Tracers NASDAQ100ゴールドプラス」で検索すると、対象ページにアクセスしやすくなります。
Q. 信託報酬は高いですか?
A. 信託報酬は年率0.2189%(税込)と、レバレッジ型ファンドの中では非常に低水準です(例:iFreeレバナスは0.99%、楽天レバナスは0.77%など)。コスト面でも競争力があります。
Q. NASDAQ100ゴールドプラスの買い方は?
A. 各証券会社のサイトで「NASDAQ100ゴールドプラス」または「Tracers NASDAQ100ゴールドプラス」と検索し、ファンド詳細ページから購入手続きを進められます。
Q. GOLDが下がった場合はどうなりますか?
A. 金(GOLD)は通常、株式と逆相関の動きをすることが多く、下落時のクッションとなる資産ですが、市場全体のリスクオフ局面では株・金が同時に下がる可能性もあります。その場合、NASDAQ100ゴールドプラスは通常のNASDAQ100ファンド以上に影響を受ける可能性があるため、過信せずリスク分散を意識することが大切です。
Q. 他のレバレッジ型と迷っています。どう選べばいいですか?
A. NASDAQ100ゴールドプラスは、成長性と守備性のバランスを取った設計で、QLD(NASDAQ100の2倍)よりもリスクが抑えられています。一方で、爆発的なリターンを狙いたいならQLDやレバナスが選択肢になる場合も。ご自身のリスク許容度と運用期間に応じて選ぶのがポイントです。
Q. NASDAQ100ゴールドプラスは積立に向いていますか?
A. 比較的価格変動が大きいため、時間分散による積立投資との相性は良いと言えます。特に中長期視点でリスクを抑えながらリターンを追求したい人にとっては、NASDAQ100ゴールドプラスは積立にも向いたバランス型ファンドです。
本記事では、NASDAQ100ゴールドプラスのシミュレーション結果や他ファンドとの比較を通じて、実力と特徴を多角的に検証しました。
成長性と安定性のバランスを意識したい投資家にとって、興味深い選択肢となるファンドであることは間違いありません。
ファンドの仕組みやリスク特性を理解したうえで、ご自身の運用方針やリスク許容度と照らし合わせて、冷静な判断を下すことが大切です。
本記事の内容が、今後の資産運用の参考となれば幸いです。